ただし、報道されるニュースの中には明らかに便乗を狙って有利な条件を出そうとするものも。
今回はその中から2つの事例を考察してみようと思います。
障がいを持つ94歳女性をビジネスクラスからエコノミーへダウングレード
今回はロサンゼルスからメルボルンまでのフライト。94歳の障害を持つ女性パズ・オルクイーザさんとその娘ローズさんが搭乗。
祖母はビジネスクラスの航空券、娘はエコノミークラスの航空券を購入。
結果、祖母の介助を娘ができないと判断され、祖母がエコノミークラスにダウングレードされたというものでした。
どのような介助が必要だったか?
今回、報道によると娘のローズさんが乗務員に申し出た内容は次の通り。メルボルンからロサンゼルスまでの飛行は快適だったが、帰りのフライトでビジネスクラスのCAのショーナという女性に、パズさんの手助けをする時のみエコノミークラスに座席を購入したローズさんがビジネスクラスに来て「座席からトイレまでのエスコート」「シートをリクライニングに調整」、そして「機内食のバターをパンに塗る」という3つをしたいと伝えた。ローズさんは今回のエコノミークラスへの移動について米国航空アクセス法 The Air Carrier Access Act 違反と考えており、ユナイテッド航空に対し「然るべき対応をしなければ法的措置を取る構えだ」と明記した手紙を送付しているとのことです。
【海外発!Breaking News】ユナイテッド航空「乗客を子供のように叱った!」エコノミーへ強制移動の94歳女性親族に直撃インタビュー UA社への手紙も公開(米)2017.04.16 21:56 テックインサイト
今回のユナイテッド航空の措置は航空アクセス法違反に該当しない
今回、障害を持つ高齢の女性がエコノミークラスへ移動させられたことについて、シカゴでのオーバーブッキングの事例と同様に炎上しています。
ただし、この行為自体は航空アクセス法違反には該当しないと考えます。
理由は娘のローズさんが乗務員に伝えたこの言葉。
「座席からトイレまでのエスコート」
トイレについて介助が必要ということは実は問題ではありません。
座席からトイレまでエスコートするという行為が問題になります。
米国運輸省では介助者の同行が必要とされると定義されている内容がNew Horizons: Information for the Air Traveler with a Disabilityで公開されています。
介助が必要なものは以下の内容。
- ストレッチャー等の機器を利用した移動の場合
- 精神的な障害のため、乗務員からの安全の指示に応じることができないまたは理解できない場合
- 緊急時の機外脱出が援助なしではできないような障害(運動能力もしくは視覚、聴力に起因するもの)がある場合
すなわち、一人でトイレに行くことができないというのは緊急時の機外脱出が援助なしではできないような障害に該当します。
客室乗務員は機内サービスの業務のほかに、保安業務や緊急事態対応をしなくてはなりません。
万が一の緊急時に、特定の乗客に介助が必要となった場合、その特定の乗客だけでなく、乗客乗員全員が機外脱出にかかる時間が長くなってしまうなどの問題が考えられます。
2人がどの座席に座っていたかわかりませんが、エコノミークラスの乗客がビジネスクラスの乗客を介助するのは現実的に困難だと思われます。
このような場合は同じクラスの航空券を予約するのが原則。
また、New Horizons: Information for the Air Traveler with a Disabilityでも事前に航空会社へ連絡することが推奨されています。ユナイテッド、結婚式へ行く2人組を降ろす
こちらは、ユナイテッド航空より搭乗していたカップルに問題がありそう。[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米ユナイテッド航空でテキサス州ヒューストンから結婚式のためにコスタリカに向かおうとしたカップルが15日、連邦保安官によって機内から降ろされた。ヒューストンのニュースチャンネルKHOU11が伝えた。
ユナイテッドによると、カップルは、追加料金の支払いが必要となる高額な席に座ろうとし、乗員の指示にも従おうとしなかったという。
一方、カップルは、KHOUのインタビューに対し、同機に最後の客として搭乗した際、他の乗客が2人の座席に横になって寝ていたため、空いていた前方のエコノミー席に座ろうとしたところ、乗員は追加料金を支払うという彼らの申し出を拒否し、元の席に戻るよう求めたと語った。
ユナイテッド、結婚式へ行く2人組を降ろす 2017年4月17日 東洋経済ONLINE(ロイター)
単なるセルフアップグレード
これ、搭乗した席が気に食わなかったから勝手にエコノミークラスからエコノミープラスへセルフアップグレードしただけです。そもそも、報道されている内容も変。
最後の客として搭乗したのであれば出発間際。
シートベルトサインが点灯していたかどうかはわかりませんが、他の乗客が2人の座席に横になっていたとは考えられません。
仮に横になっていたとしても、声をかけるか乗務員を呼んで対処させればいいこと。
なぜエコノミープラスの座席へ勝手に移動したか理解に苦しみます。
また、ユナイテッド航空では機内で追加料金を支払うことによりエコノミーからエコノミークラスへのアップグレードが可能です。
しかし、連邦保安官が降機させていることから、何らかのトラブルがあったのは間違いないと思われます。
他の航空会社でも発生する炎上事例
ユナイテッド航空の炎上が目立っていますが、他の航空会社でもこのような事例はたびたび報道されています。
セルフアップグレードはともかく、搭乗に際し、少しでも不安がある場合は、予約の際に相談すること、或いは予約後早めに予約センターへ連絡することを強くお勧めします。
そうは言ってもサービス業ですから。商いとは程遠く大変残念です。
返信削除こんにちは。
削除アメリカ系はこんなもんです。
デルタもアメリカンもその他大勢もこういった問題は起こしてます。
まあ、サービスは日系やアジア系に比べるとイマイチですよね。